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超短波照射における人体の深部加温シミュレーションについて

はじめに

超短波とは
毎秒約2,700万回振動する波長の短い電波です。体の表面加温を目的とするホットパックやアンカなどと異なり、体の深部加温を目的とした「物理療法の一つ」です。

イメージ図:人体への超短波照射

超短波による局所の温熱効果
疲労回復/血行をよくする/筋肉の疲れをとる/筋肉のこりをほぐす/神経痛・筋肉痛の痛みの緩解/胃腸の働きを活発にする

※以下に、照射部(特に深部)の温度変化を検証した資料を掲載します。

  • 超短波を使用すると深部加温による心地よい温かさを感じます。
    しかし、本当に深部加温しているかどうかは使用者の感覚に依存しており、生体での深部温度測定は困難で不可能です。
  • 近代は、電磁波の照射影響について、評価方法の一つとしてMRIやハイパーサーミアに対するコンピュータでの電磁波シミュレーション算出方法が確立されています。
  • そこで、一般的に利用されている超短波機器についても、深部加温の算出をするため、MRIやハイパーサーミアの評価で多くの実績を上げてこられた東海大学 黒田研究室にご協力を頂き、人体深部加温のシミュレーションを実施していいただきました。

黒田輝 教授 プロフィール

黒田 輝(くろだ かがやき) 教授

黒田 輝(くろだ かがやき)
東海大学 情報理工学部 学部長
千葉大学フロンティア医工学センター 特別研究教授

職歴
  • 1986年4月 日本電気株式会社 衛星通信システム本部
  • 1988年4月 大阪市立大学 工学部 電気工学科 助手
  • 1995年7月 ハーバード大学 医学部 放射線科 客員研究員
  • 1999年4月 東海大学 総合科学技術研究所 専任講師
  • (中略)
  • 2009年4月 東海大学 情報理工学部 情報科学科 教授
  • 2017年4月 東海大学 情報理工学部 学部長
現在の研究テーマ
MRIによる温度計測、MRIによる脳脊髄液動態計測、インターベンショナルMRI、体内植込み医療機器のMRI安全性評価
  • 褒賞
    • ISMRM Fellow
    • 日本磁気共鳴医学会 学会賞特別賞
    • Cum Laude, RSNA, Education Exhibit
    • 日本ハイパーサーミア学会 優秀論文賞
    • Magna Cum Laude, ISMRM 他
  • 関係学会
    • 日本磁気共鳴医学会 理事長・安全性担当理事
    • 日本ハイパーサーミア学会 副理事長・QA委員長 他

(2020年9月5日現在)

計算環境

  • 電磁界解析ソフトウェア, Sim4Life V 5.0(Schmid & Partner,Switzerland)
    Windows10 Professional(CPU,Intel®Core(TM)i7-9800X@3.80GHz 3.79GHz; GPU,NVIDIA GeForce RTX2060×4(計4枚);オンボードメモリ,64GB)

  • Sim4Life

計算対象

  • Virtual population(ViP)modelのDUKE
    (性別:男性,年齢:34歳,身長:177cm,体重:70.3㎏,BMI:22.4㎏/㎡)

    ボランティアを募集しMRIで全身をスキャン、各組織に電磁界特性を付与したことにより、DUKEは300を超える組織と臓器を持ち、全身を0.5㎣で解析できる模擬人体です。

    (参考)IT’IS FOUNDATION

  • Virtual population(ViP)modelのDUKE

超短波(オレンジ導子)背部

  • 背部へ超短波を30分間照射し、時間ごとに体内の温度変化を記録する

    部位 背部
    使用電極 パッド型オレンジ導子
    印加電流

    強・中
    照射時間 30分
  • モデル外観:超短波(オレンジ導子)の背部への装着
    モデル外観
  • 超短波(オレンジ導子)の背部への照射に対する加温30分後の横断面における温度分布
    加温30分後の横断面における温度分布
  • 超短波(オレンジ導子)の背部への照射に対する緑線交差部における筋肉組織の到達温度
    緑線交差部における筋肉組織の到達温度
  • 考察
    体表面から52㎜の部位であっても出力「強・中」で30分照射した場合体内温度が約42.0℃まで上昇したことがわかる
  • イメージ図:超短波(オレンジ導子)の背部への装着

入浴

  • 41℃の湯で30分間入浴し、時間ごとに体内の温度変化を記録する

    部位 腹部
    湯温 41℃
    入浴時間 30分
  • モデル外観:入浴
    モデル外観
  • 入浴30分後の横断面における温度分布
    入浴30分後の横断面における温度分布
  • 入浴に対する緑線交差部における筋肉組織の到達温度
    緑線交差部における筋肉組織の到達温度
考察
超短波の照射時に比べて、深部温度の顕著な上昇が見受けられない
体表面から52㎜の部位では、わずかに37.3℃への変化にすぎなかった

超短波(ピンク導子)前頸部

  • 前頸部へ超短波を30分間照射し、時間ごとに体内の温度変化を記録する

    部位 前頸部
    使用電極 ピンク導子関節小
    印加電圧

    強・中
    照射時間 30分
  • モデル外観:超短波(ピンク導子)の前頸部への装着
    モデル外観
  • 超短波(ピンク導子)の前頸部への照射に対する加温30分後の横断面における温度分布
    加温30分後の横断面における温度分布
  • 超短波(ピンク導子)の前頸部への照射に対する加温30分後の矢状面における温度分布
    加温30分後の矢状面における温度分布
  • 超短波(ピンク導子)の前頸部への照射に対する緑線交差部における筋肉組織の到達温度
    緑線交差部における筋肉組織の到達温度
  • 考察
    頸部への透射は温度上昇が顕著であり照射開始から10分程度で十分な温度上昇が確認できる
    出力は「微」での使用を徹底する
  • イメージ図:超短波(オレンジ導子)の前頸部への装着

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